症例報告
Brunner腺由来十二指腸癌の1例
小松 正伸1)2), 加藤 紘之1), 本原 敏司1), 加地 苗人1), 三宅 毅1), 宮嵜 直樹1), 齋藤 克憲1)2), 川村 昌3)
北海道大学医学部第2外科1), 北海道社会事業協会岩内病院外科2), 北海道社会事業協会余市病院外科3)
Brunner腺由来十二指腸癌の1例を経験した.症例は71歳の男性で,貧血の精査の結果,X線検査・内視鏡検査により十二指腸下行部に表面の決漬した粘膜下腫瘍の所見を得た.生検では中分化型腺癌で,膵頭十二指腸切除術が行われた.腫瘍は2.7×3.3 cm,円形で,深い陥凹を伴う粘膜下腫瘍の形態を示し,ファーター乳頭,胆管,膵とは連続性がなかった.腫瘍の肉眼像,各種の組織学的検査や電子顕微鏡検査所見からBrunner腺由来の癌と診断された.
Brunner腺由来十二指腸癌は従来極めてまれとされていたが,近年報告例が散見されるようになっている.本邦の報告例21例を収集し,その肉眼像と組織学的診断について検討して,文献的考察を加えた.
索引用語
carcinoma of the Brunner's gland, submucosal tumor of the duodenum, image diagnosis
日消外会誌 27: 1815-1819, 1994
別刷請求先
小松 正伸 〒045 北海道岩内郡岩内町栄170 北海道社会事業協会岩内病院外科
受理年月日
1994年2月9日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|