原著
int-2,hst-1,およびRB遺伝子からみた食道癌の生物学的悪性度の評価
呉山 泰進, 片岡 誠, 桑原 義之, 岩田 宏, 加島 健利, 篠田 憲幸, 佐藤 篤司, 服部 浩次, 中野 浩一郎, 西脇 巨記, 正岡 昭
名古屋市立大学第2外科
1989年から1991年までに切除された17例の食道癌を組織材料としてint-2,hst-1遺伝子の増幅,RB遺伝子のLoss of heterozygosity(以下,LOHと略記)の有無を検索し,臨床病理学的因子との相関,予後因子としての有用性を検討した.1)int-2,hst-1遺伝子の増幅はそれぞれ59%,53%の症例に認められた.増幅例は組織型や進行度とは相関なく,男性,遠隔転移陽性例,v因子,ly因子陽性例に有意に高率にみられた.また増幅例は生存率も低い傾向が認められ,4倍以上の高度増幅例は特に遠隔転移を来しやすく予後不良であった.2)RB遺伝子のLOHは56%に認められ,リンパ節転移,v因子,進行度と相関が認められたが生存率の解析では一定の傾向は認められなかった.以上よりint-2,hst-1遺伝子増幅は従来の組織学的悪性度とは独立した生物学的指標として有用であると考えられた.
索引用語
int-2, hst-1 oncogene, RB tumor suppressor gene, esophageal carcinoma, prognostic factor
日消外会誌 27: 1879-1884, 1994
別刷請求先
呉山 泰進 〒467 名古屋市瑞穂区瑞穂町川澄1 名古屋市立大学第2外科
受理年月日
1994年3月2日
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