原著
膵・消化管吻合部の創傷治膵に関する実験的検討―微細血管構築像と病理組織像よリ―
福良 清貴, 愛甲 孝, 高尾 尊身, 新地 洋之, 島津 久明
鹿児島大学医学部第1外科
雑種成犬36頭を用いて膵胃吻合(膵管挿入法),膵空腸吻合(膵管挿入法),膵胃吻合(嵌入法)の実験モデルを作成し,いずれの吻合法が創傷治膵の点で優れているかを術後第3,5,7,14病日目の吻合部の微細血管構築像と病理組織像で比較検討した(各n=3).微細血管構築像についてはavasculararea占拠率,新生血管占拠率を測定,病理組織像については循環障害を表す壊死,出血,急性炎症細胞浸潤,組織修復を表す線維芽細胞またはコラーゲンについてscore化し各術後病日ごとに検索した結果,膵胃吻合(膵管挿入法)と膵空腸吻合(膵管挿入法)の間に創傷治膵機転の優劣の差は認められなかった.膵胃吻合(嵌入法)は両膵管挿入法に比べて術後第5病日目までのavascular areaが小さいので,吻合操作による組織損傷が少ないことが示唆されたが,膵管開口部に狭窄が発生する可能性がある.
索引用語
wound healing, pancreaticogastrostomy, pancreaticojejunostomy, invagination of the pancreas into the stomach, microangiography
日消外会誌 27: 1930-1939, 1994
別刷請求先
福良 清貴 〒890 鹿児島市桜ケ丘8-35-1 鹿児島大学医学部外科学第1講座
受理年月日
1994年4月13日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|