症例報告
腸重積症を呈した大腸神経線維腫の1例
安達 和仁, 工藤 俊, 森 洋幸, 堀内 義美, 亀山 仁一*, 塚本 長*
三友堂病院外科, 山形大学第1外科*
腸重積症を呈したvon Recklinghausen病に随伴しない大腸神経線維腫の1例を報告する.症例は80歳の女性で,血便と間歇性腹痛を主訴とし来院.精査目的で入院となった.注腸,内視鏡,CT検査より,盲腸・上行結腸に,管腔内に突出する5 cmを超える腫瘍を認め,これが先進部となり上行結腸が横行結腸に重積している状態であることが判明した.また,腫瘍は非上皮性であると考えられたが,生検では確定診断には至らなかった.右半結腸切除術を施行した.術後の病理組織学的検査にて神経線維腫と診断した.
神経線維腫の診断には,筋原性腫瘍との鑑別,他の神経原性腫瘍との鑑別が必要であるが,ヘマトキシリン・エオジン染色に加え,抗ミオグロビン抗体,抗S-100抗体などの免疫染色を行うことで鑑別は可能である.
本症例は報告例としては本邦5例目と思われる.
索引用語
neurofibroma of the colon, anti-S-100 antibody, invagination
日消外会誌 27: 2186-2190, 1994
別刷請求先
安達 和仁 〒992 米沢市中央6-1-219 三友堂病院外科
受理年月日
1994年5月11日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|