原著
胃癌原発巣の血管新生からみた再発形式の予測―第VIII因子関連抗原染色を用いて―
前田 清, 鄭 容錫, 高塚 聡, 小川 佳成, 澤田 鉄二, 小野 田尚佳, 加藤 保之, 有本 裕一, 新田 敦範, 曽和 融生
大阪市立大学医学部第1外科
胃癌患者124例を対象とし,血管内皮細胞に特異的なfactor VIII related antigenに対するモノクローナル抗体を用いて免疫組織化学染色を行い,切除標本での新生血管の分布パターンを検討した.胃癌原発巣における新生血管の分布は腫瘍内増生型と間質型に大別された,臨床病理学的諸因子別には腫瘍内増生型では間質型に比べて有意に静脈侵襲陽性例,肝転移例が多かった.予後との関係については腫瘍内増生型では間質型に比べ,有意差はないものの予後不良の傾向を示した.また,再発形式については腫瘍内増生型では間質型に比べて有意に(p<0.01)肝転移再発が高率で,一方,間質型では有意差はないものの腹膜再発が高頻度に認められた.以上,今回の検討では腫瘍内増生型は血行性転移と関連し,胃癌組織での新生血管の分布パターンを検討することは再発形式の予測に有用であることが示唆された.
索引用語
angiogenesis, factor VIII related antigen, gastric cancer, recurrence
日消外会誌 27: 2391-2395, 1994
別刷請求先
前田 清 〒545 大阪市阿倍野区旭町1-5-7 大阪市立大学医学部第1外科
受理年月日
1994年6月8日
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