症例報告
3世代11例を手術した家族性大腸腺腫症1家系の検討
吉岡 裕司, 小島 治, 飯塚 亮二, 山根 哲郎, 高橋 俊雄
京都府立医科大学第1外科
3世代にわたり当教室で手術した家族性大腸腺腫症の11症例を検討した.
1.本家系では世代が進むにつれて,手術時平均年齢が若年化していた.癌併存例では,第1,第3世代の手術時平均年齢の差は16.5歳あり,世代が進むにつれて癌発生が早くなる可能性があり,本症の早期発見(15~20歳)が必要である.
2.癌併存例の術後の経過観察において胃癌,胆管癌各1例が発生しており,上部消化管の長期にわたる検査が必要である.
3.網膜色素上皮肥大の検査は本症のスクリニーングに有用と考えられる.
4.回腸直腸吻合術の術後には,残存直腸の癌発生に対する癌化学予防が重要と考えられる.
索引用語
familial adenomatous polyposis, carcinogenesis, chemoprevention
日消外会誌 27: 2596-2599, 1994
別刷請求先
吉岡 裕司 〒602 京都市上京区河原町通広小路上ル梶井町465 京都府立医科大学第1外科
受理年月日
1994年9月14日
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