症例報告
肛囲Paget病変を伴った肛門部粘液産生癌の1例
山田 達治, 山口 晃弘, 磯谷 正敏, 堀 明洋, 金 祐鎬, 前田 敦行, 河合 正巳, 高野 学, 山口 竜三, 窪田 智行
大垣市民病院外科
われわれは肛門周囲Paget病変を伴った肛門腺由来と思われる肛門管癌を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
症例は79歳の男性で,肛門部腫瘤を主訴に来院した.肛門指診にて肛門管内に腫瘤性病変を認めるとともに肛門周囲に発赤・びらんを伴っていた.肛門粘膜生検にて印環細胞癌と診断されたため,腹会陰式直腸切断術を施行した.術後病理診断では腫瘤は著明な粘液結節より成る粘液産生癌であり,また術前肛門周囲に認めたびらんはPaget病変であった.
文献上,肛囲Paget病の本邦報告例は本例を含め20例と少ないが,その大多数に癌の合併を認めることより注意を要する病態と思われる.
索引用語
anal cancer, perianal Paget's disease
別刷請求先
山田 達治 〒503 大垣市南頬町4-86 大垣市民病院外科
受理年月日
1994年11月9日
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