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第28巻 第4号 1995年4月 [目次] [全文 ( PDF 595KB)]
原著

隣接臓器浸潤大腸癌の臨床病理学的検討―とくに組織型からみた特徴と合併切除の意義について―

大下 裕夫, 田中 千凱, 種村 廣巳

岐阜市民病院外科

 肉眼的隣接臓器浸潤大腸癌89例(大腸癌全切除例の19.4%)を対象に,組織型からみた臨床病理像と予後について検討した.全大腸癌に対する割合は低分化腺癌が48.4%で最も高率であった.組織学的にも癌の浸潤が証明された症例は89例中36例,40.4%であった.また,高分化腺癌では粘膜下層から漿膜下層までの比較的浅い深達度症例が29.8%を占めていた.リンパ節転移率は44.3%と比較的低率であったが,組織型別にみると,分化度の低い症例ほど高率で,かつ,n3以上の頻度が高くなる傾向が認められた.浸潤臓器合併切除率は92.1%と高率であったが,治癒切除となった症例は59.6%であった.治癒切除例の5年生存率は63.9%と良好であり,さらに,組織型による差異もみられないことより,いかなる組織型の大腸癌でも浸潤臓器の積極的な合併切除は予後の向上にとって有意義と考えられた.

索引用語
colorectal carcinoma with invasion to the adjacent organs, combined resection of the adjacent organs in colorectal carcinoma

日消外会誌 28: 799-804, 1995

別刷請求先
大下 裕夫 〒500 岐阜市鹿島町7-1 岐阜市民病院外科

受理年月日
1995年1月11日

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