症例報告
組織学的に多形性を示した十二指腸好銀性細胞癌(いわゆる悪性カルチノイド)の1例
森脇 義弘, 森田 修平, 工藤 琢也, 山中 研, 呉 宏幸, 小金井 一隆
横浜赤十字病院外科
十二指腸原発の好銀性細胞癌(いわゆる悪性カルチノイド)症例を経験し,治癒的に切除しえたので報告する.症例は69歳の男性.上腹部圧痛を主訴に横浜赤十字病院を受診した.上部消化管造影検査,上部消化管内視鏡検査,生検の結果,幽門部胃癌の診断で手術を行ったが,術中所見で十二指腸癌と診断し,膵頭十二指腸切除,リンパ節郭清を行った.術後の病理学的検索では,リボン状配列様の索状構造が認められGrimelius,Fontana-Masson染色とも陽性であったが核の大小不同や強度な細胞異型が目立つ,「好銀性細胞癌(いわゆる悪性カルチノイド)」と診断した.広義のカルチノイドのうち十二指腸原発例は比較的まれであるが,そのほとんどは組織学的に均一な細胞からなるいわゆる「古典的カルチノイド」で,核の大小不同や細胞異型など組織学的に多形性を示すものは非常にまれである.本腫瘍の臨床病理学的性格について「古典的カルチノイド」の報告と比較し考察した.
索引用語
duodenal argyrophil cell carcinoma, duodenal carcinoid, duodenal endocrine cell carcinoma
別刷請求先
森脇 義弘 〒231 横浜市中区根岸町2-85 横浜赤十字病院外科
受理年月日
1995年1月11日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|