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第28巻 第4号 1995年4月 [目次] [全文 ( PDF 502KB)]
特集

消化器癌術後のQOL改善に対する漢方補剤の使用経験

岡本 堯, 西連寺 意勲, 本橋 久彦, 武宮 省治, 杉政 征夫, 小林 理, 赤池 信

神奈川県立がんセンター外科

 十全大補湯を始めとする漢方補剤が消化器術後のQOL改善に有用であるという報告が10年程前からみられるようになったが,この背景にはこれらの漢方補剤による免疫能の低下防止や貧血防止,食欲改善などの諸作用があるものと考えられている.私共は実験的,臨床的検討を通して,これらの作用を明らかにしてきた.マウスにおける実験においては,十全大補湯混合飼料を摂取させることによって,悪液質誘起作用のあるTNFによる体重減少を阻止し,TNF負荷によって誘導されるNK細胞活性の低下を軽減することが分かった.悪液質誘起作用の認められているマウス移植腫瘍Colon 26による実験においても,同様の作用が確認された.臨床的には,胃癌,大腸癌などの消化器悪性腫瘍術後に対する十全大補湯の長期投与109例における術後のQOLについて,身体的状況については90%以上に,また,精神的状況については85%に満足しているとの回答を得ている.

索引用語
traditional chinese medicine, quality of life, post intestinal tract surgery

日消外会誌 28: 971-975, 1995

別刷請求先
岡本 堯 〒241 横浜市旭区中尾町54-1 神奈川県立がんセンター外科

受理年月日
1994年12月7日

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