原著
肝腫瘍に対する光化学療法の基礎的検討
柁原 宏久
東邦大学外科学第3講座
肝腫瘍に対する光化学療法の基礎的実験として日本白色家兎を用いVX2腫瘍モデル群を作成したのち,このモデル群に光感受性物質PH-1126を3 mg/kg投与し,投与後48時間における肝組織内の集積性を,内視鏡蛍光分光装置と手術用顕微鏡による肉眼的観察の2つの方法で確認した.また,PH-1126投与後48時間目における80 J/cm2のクリプトンレーザーを用いた光化学療法の治療効果を,(1)PH-1126非投与・辺縁穿刺3点照射群を対照群として,(2)表面照射群,(3)中心部穿刺1点照射群,(4)辺縁穿刺3点照射群に分類し施行,抗腫瘍効果として,(1)腫瘍の増殖抑制効果,(2)壊死率の2点より検討し,いずれも辺縁穿刺3点照射群の治療成績は他群と比較し有意差を認めた.同様に,延命効果に関しても辺縁穿刺3点照射群は有意な生存期間の延長をみた.これらの結果から,PH-1126を用いた光化学療法は,肝腫瘍に対する新しい集学的治療法の1つとして有用な方法であることを確認した.
索引用語
photodynamic therapy, PH-1126, VX2-tumor
日消外会誌 28: 1020-1029, 1995
別刷請求先
柁原 宏久 〒153 目黒区大橋2-17-6 東邦大学大橋病院第3外科
受理年月日
1995年2月8日
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