閉塞性黄疸時の胃粘膜adaptive cytoprotectionについての実験的検討

松尾　哲也, 佐々木　巌, 神山　泰彦, 内藤　広郎, 舟山　裕士, 松野　正紀

東北大学第1外科

　閉塞性黄疸時の急性潰瘍発生病態における胃粘膜adaptive cytoprotection（以下，AC）発現を知る目的で，ラットを用いて対照群，黄疸群，減黄群の3群を作製しtaurocholate（以下，TA）投与による急性潰瘍を作製し検討した．Mild irritant（以下，MI）としては低濃度TAを用いた．潰瘍係数は対照辞に比べ黄疸群で有意に高値であったが減黄群では対照群と差を認めなかつた．MI投与ではいずれの群も非投与群に比べ低値となったが，indomethacin投与でMI投与の効果は消失した．高濃度TA投与時の胃粘膜ヘキソサミン量の低下がMI投与群では抑制され，また胃粘膜potential differenceはTA投与後の回復の促進が認められた．胃内PHはMI投与群で非投与群に比べ低値を示した．以上より，黄疸時においてもACが発現し，内因性prostaglandinの関与が示唆され，また減黄操作においてもその効果が維持されると考えられた．

索引用語
adaptive cytoprotection, taurocholate, hexosamine, gastric mucosal potential difference, intragastric PH

別刷請求先
松尾　哲也　〒980　仙台市青葉区星陵町1-1　東北大学医学部第1外科

受理年月日
1995年3月8日

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