原著
胆管癌における転移抑制遺伝子産物nm23/NDP kinaseの免疫組織化学的検討
佐々木 亮孝, 菅野 千治, 須藤 隆之, 新田 浩幸, 村上 雅彦, 早川 善郎, 島田 裕, 川村 英伸, 玉沢 佳之, 斎藤 和好
岩手医科大学第1外科
胆管癌切除54例を対象としnm23の2種類のアイソフォームの発現と各種臨床病理学的因子,予後および術後肝転移との関係について検討した.組織nm23-H1の発現率は79.6%,H2 85.2%と高率であった.nm23の発現と各種臨床病理学的因子では,十二指腸浸潤陽性例で有意にnm23-H1の発現が低下していたが深達度,リンパ節転移,膵浸潤では有意の差を認めなかった.nm23の発現と予後との関係では,nm23-H1,H2ともに有意の差を認めなかった(p=0.79,p=0.63).nm23の発現と術後肝転移の関係では肝転移症例のnm23の発現はnm23-H1,H2ともに3年以上無再発健存例,5年以上無再発症例と比べ有意の差を認めなかった.以上より,胆管癌においてはnm23の組織内発現はリンパ節転移,予後および肝転移とは明らかな関連はなく,転移予後の予測因子としては有用でない可能性が示唆された.
索引用語
bile duct carcinoma, nm23, nucleoside diphosphate kinase, immunohistochemistry
日消外会誌 28: 1703-1707, 1995
別刷請求先
佐々木亮孝 〒020 盛岡市内丸19-1 岩手医科大学医学部第1外科
受理年月日
1995年3月8日
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