特集
多発胃癌の臨床病理学的特徴とp53蛋白発現との関連
今野 弘之, 丸山 敬二, 丸尾 祐司, 金井 俊和, 松田 巌, 田中 達郎, 西野 暢彦, 中村 達, 馬塲 正三, 中村 昌樹*
浜松医科大学第2外科, 国立天竜病院*
当科において最近12年間に経験した多発胃癌は2病巣症例22例,3病巣症例3例の25例,53病巣であり同時期の胃癌切除例の6.2%であった.男女比は2.57,平均年齢63.9歳で,単発胃癌に比べ高齢の男性に多かった.早期多発癌が11例で主病巣は陥凹型と混合型,副病巣は陥凹型と平坦型が多く36%で副病巣が主病巣の口側に存在した.組織型では分化型と分化型の組み合わせが64%で,背景粘膜として中等度以上の腸上皮化生を84.0%に認めた,17例37病巣のp53免疫組織染色では,14例(82.4%)でp53蛋白発現を認めたが,病巣としての陽性率は59.5%であり組織型,早期癌巣と進行癌巣,深達度いずれにおいてもp53発現率に差がなかった.また多発癌病巣におけるp53蛋白発現のHeterogeneity(多発癌病巣のp53染色が陽性,陰性混在する症例)を47.1%の症例に認め,多発癌の発生は互いに独立している可能性が示唆された.
索引用語
multiple gastric cancer, p53, immunohistochemistry
日消外会誌 28: 2120-2124, 1995
別刷請求先
今野 弘之 〒431-31 浜松市半田町3600 浜松医科大学第2外科
受理年月日
1995年6月14日
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