原著
肝動脈塞栓術における細胞障害に関する臨床的,実験的検討
橋本 大樹
埼玉医科大学第2外科学教室(主任:石田 清教授)
Transcatheter arterial embolization(TAE)による腫瘍部および非腫瘍部の組織障害と活性酸素,サイトカインとの関連性をヒト肝癌(n=30)および家兎VX2腫瘍肝癌モデル(n=20)を用いて検討した.ヒト肝癌で,体温,白血球数,AST,ALT,LDH,superoxide dismutase activity(SOD活性),interleukin-6,nitric oxide(NO)のいずれもがSAE後1日目に高値を示し,7日目にはTAE前値に戻った.AST,ALT,LDHに対する重回帰分析の結果,NOが肝障害と最も強い関係にあった.実験で,腫瘍部のSOD活性,thiobarbituric acid reactive substancesはTAE直後から高値を示し,かつ,非腫瘍部にヒベ上昇率が高かった.また,腫瘍部ではTAE後1日目にelectron spin resonance sgnalとして大量の脂質過酸化物が確認され,病理組織学的検討では腫瘍部の壊死と腫瘍周囲に好中球,マクロファージの浸潤を認めた.以上より,TAEによる組織障害に活性酸素の関与が示唆された.
索引用語
transcatheter arterial embolization, active oxygens, nitric oxide, cytokine
日消外会誌 28: 2174-2183, 1995
別刷請求先
橋本 大樹 〒350-04 埼玉県入間郡毛呂山町毛呂本郷38 埼玉医科大学第2外科
受理年月日
1995年7月5日
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