原著
小腸虚血・再灌流障害発生に関する実験的研究
池田 正視, 高木 純人, 山形 邦嘉, 原 彰夫, 吉田 宏重, 上田 一夫, 柴 忠明, 竹内 節夫, 辻本 志朗*
東邦大学第2外科, 同 病院病理*
近年,小腸虚血・再灌流障害の発生因子として,活性酸素が注目されている.著者らは,血小板活性化因子(PAF),ロイコトリエン(LTB4・C4)などのchemical mediatorも重要な因子と考え報告してきた.これらは再灌流後に活性酸素とともに粘膜障害を引き起こすが,虚血中にも出現し何らかの障害を誘発すると考えている.そこで小腸虚血・再灌流犬を作製し,内視鏡を用い虚血中より粘膜を経時的に観察するとともに,PAF,LTB4・C4を測定し検討した.小腸虚血中にPAFが組織中に増量し,再灌流後門脈血中にPAF,LTB4・C4が出現した.内視鏡的観察では,小腸虚血・再灌流障害は虚血とともにその準備状態が始まり,再灌流によりさらに顕著なものとなった.一方,高濃度酸素投与下虚血・再灌流では虚血中PAFの増量はなく粘膜障害も軽度であった.小腸虚血・再灌流の全経過を通じPAFの果たす役割は重要であることを強調したい.
索引用語
intestinal ischemic-reperfusion injury, platelet activating factor, leukotrienes, dogs experi-mental study
日消外会誌 28: 2256-2264, 1995
別刷請求先
池田 正視 〒143 大田区大森西6-11-1 東邦大学第2外科
受理年月日
1995年9月13日
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