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第29巻 第3号 1996年3月 [目次] [全文 ( PDF 516KB)]
原著

エンドトキシン肝細胞障害におけるprostaglandin E1の効果に関する実験的検討

井戸田 望, 初瀬 一夫, 庄野 聡, 相原 司, 村山 道典, 酒井 良博, 青木 秀樹, 出井 雄幸, 西田 正之, 柿原 稔, 玉熊 正悦

防衛医科大学校第1外科

 エンドトキシン(以下,Exと略記)誘発性肝障害におけるprostaglandin E1(以下,PGE1と略記)の投与効果を,投与量を変化させて実験的に検討した.ラットの循環動態に影響を及ほさない最大のPGE1量は0.1 µg/kg/minであった.微量のエンドトキシン15µg/hr/100 gBwのみを持続投与した群(以下,Ex群と略記)に対し,ExにPGE1を0.02または0.1 µg/kg/min同時投与した群(以下,Ex+0.02 PGE1群,Ex+0.1PGE1群と略記)において7.5時間後の末梢血肝機能(T-Bil,GPT,LDH,ALP),動脈圧,肝組織血流を比較検討した.Ex群で生じた肝機能障害に対し,Ex+0.02 PGE1群ではT-Bilの軽度低下を示したが,GPT,LDHの低下は認めなかった.一方,Ex+0.1PGE1群では肝機能の著明な悪化を認めた.各群間では動脈圧,肝組織血流に有意差は認めなかった.エンドトキシン血症に伴う肝機能障害において,PGE1はその投与量により効果が異なることが示唆された.

索引用語
endotoxin, liver dysfunction, prostaglandin E1

日消外会誌 29: 699-703, 1996

別刷請求先
井戸田 望 〒359 所沢市並木3-2 防衛医科大学校第1外科

受理年月日
1995年11月15日

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