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第29巻 第3号 1996年3月 [目次] [全文 ( PDF 639KB)]
原著

大腸絨毛状腫瘍成分におけるp53蛋白発現とKi-67を指標とした増殖能の検討―腺腫内癌,進行癌と比較して―

池永 誠, 大谷 剛正, 内藤 修, 笹本 浩, 比企 能樹, 柿田 章

北里大学医学部外科学教室

 大腸絨毛状腫瘍成分の生物学的特性を検索する目的で,絨毛状腫瘍成分を50%以上を有する腺腫10症例をp53蛋白発現とKi-67標識率を指標とする増殖能の視点から,免疫組織化学的検討を行った.対照として大腸腺腫内癌18例,深達度mp以上の進行癌39例を用いた.p53蛋白発現率は絨毛状腫瘍成分の腺腫部では0%,癌部では20%であり,腺腫内癌の腺腫部では33%,癌部では61%であった.Ki-67標識率では絨毛状腺腫成分はそれぞれの癌に比べ,有意に低く,また,腺腫内癌の腺腫部に比べても有意に低値であった.それに反し,絨毛状癌成分では腺腫内癌の癌部とほぼ類似していた.絨毛状腺腫成分はp53蛋白発現とKi-67標識率の視点からは,腺腫内癌の腺腫部に比べ,より低悪性度と推定され,癌成分では,p53蛋白に関しては,腺腫内癌の癌部よりは低悪性度であるが,Ki-67標識率に関しては腺腫内癌の癌部に類似するものと考えられた.

索引用語
villous tumor, p53, Ki-67

日消外会誌 29: 704-709, 1996

別刷請求先
池永 誠 〒131 墨田区八広1-5-10 東京都済生会向島病院外科

受理年月日
1995年11月15日

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