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第29巻 第4号 1996年4月 [目次] [全文 ( PDF 555KB)]
特集

大腸癌肝転移の機序と対策―遺伝子治療をめざして―

石川 孝, 市川 靖史, 籾山 信義, 池 秀之, 山口 茂樹, 舛井 秀宣, 南湖 正男, 山岡 博之, 三橋 将人1), 秋田谷 龍男2), 嶋田 紘

横浜市立大学第2外科, Hitachi Chemical Research Center, Irvine CA1), 日立化成工業株式会社2)

 マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-2,7,9のmRNA発現を,大腸癌手術標本を用いて観察した.その結果,MMP-7(マトリライシン)mRNAは,癌組織にのみ特異的に強く発現し,その発現量は大腸癌の進展度に伴い増加し,肝転移巣においても非常に強く発現していた.そこで,マトリライシンmRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを設計,合成し,大腸癌の浸潤,増殖に及ぼす影響を検討した.アンチセンスオリゴはマトリライシン産生直腸癌細胞株CaR-1のマトリライシンmRNA発現を特異的に抑え,濃度依存性にその浸潤および増殖能を抑制した.以上の臨床および基礎データから,マトリライシンは大腸癌の浸潤,転移に関わるものと考えられ,現在,マトリライシンmRNAのアンチセンスオリゴを肝動注投与することにより,微小肝転移の増殖抑制および肝内への浸潤抑制の可能性について検討している.

索引用語
matrilysin, antisense oligonucleotide, colorectal cancer

日消外会誌 29: 878-883, 1996

別刷請求先
石川 孝 〒236 横浜市金沢区福浦3-9 横浜市立大学医学部第2外科

受理年月日
1995年11月15日

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