原著
mp胃癌における予後規定因子としての核DNA量
土屋 敦雄, 菊地 洋一, 阿部 力哉, 水沼 廣, 金沢 匡司, 佐藤 久芳, 安藤 善郎, 野水 整, 吉田 典行
福島県立医科大学第2外科
mp胃癌49例についてフローサイトメトリーによる核DNA量を含めた臨床病理学的因子と予後との関連を検討した.臨床病理学的因子として年齢,性,占居部位,肉眼型,リンパ節転移,肝転移,腹膜播種,stage分類を用いた.DNA ploidyパターンと臨床病理学的因子との関連はみられなかった.DNA ploidyパターンの内訳はdiploid 29例(59.2%),aneuploid 20例(40.8%)で,5年生存率はそれぞれ88.6%,50.5%であった.単変量解析にて5年生存率に有意の差を示したのはリンパ節転移,肝転移,DNA ploidyパターンであった.そこでCoxの比例ハザードモデルによる多変量解析を行ったところDNA ploidyパターン,リンパ節転移,腹膜播種が有意の予後規定因子であった.胃癌において核DNA量は生物学的悪性度を反映し,術前生検による核DNA量測定により効果的な治療が期待される.
索引用語
gastric cancer, DNA ploidy pattern, flow cytometry, survival, multivariate analysis
別刷請求先
土屋 敦雄 〒960-12 福島市光が丘1 福島県立医科大学第2外科
受理年月日
1996年10月9日
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