原著
予後からみたangio helical CTによる大腸癌肝転移の診断と肝切除後間欠的肝動注療法の意義
初瀬 一夫, 青木 秀樹, 村山 道典, 重政 有, 大渕 康弘, 井戸田 望, 上野 秀樹, 柿原 稔, 望月 英隆, 玉熊 正悦
防衛医科大学校第1外科
1979年から1994年までに大腸癌肝転移に対し肝切除を施行した75例を対象とした.血管造影下CT(angio CT)は27例に施行した.まずこの27例でangio CTの肝転移診断能を超音波検査(US),CTならびに術中超音波検査(OUS)と比較した.つぎに肝切除75例を肝切除のみの群29例,肝切除に間欠的肝動注を併用した群19例,angio CT後肝切除に間欠的肝動注を併用した群(angio CT群)27例にわけ予後を比較した.Angio CT後肝切除を施行した27例で50個の転移巣が組織学的に診断された.1 cm以下の微小転移検出率はangio CT 75%でUSの8.3%,CTの25%に比べ優れ,またOUSの50%よりも良好であった.Angio CT群は他2群に比べ残肝再発が少なく,生存率も良好であった.また肝切除のみの群にくらべ間欠的肝動注を併用したほうが予後が良好であった.Angio CTにより肝転移術前診断能が向上することで切除後の予後が改善されること,さらには間欠的肝動注療法の併用も有効である可能性が示唆された.
索引用語
hepatic metastases from colorectal cancer, computed tomography during arterial portography and hepatic arteriography, intermittent hepatic arterial infusion chemotherapy, recurrence rates of the remnant liver, survival time after hepatic resection
別刷請求先
初瀬 一夫 〒359 所沢市並木3-2 防衛医科大学校第1外科
受理年月日
1996年10月9日
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