症例報告
食道癌と肝細胞癌の同時性重複癌の1切除例
本田 五郎, 山崎 信保, 嶌原 康行*, 岡上 豊猛, 上原 徹也, 八木 草彦, 倉員 敏明, 梶原 伸介, 坂尾 寿彦, 木下 研一
市立宇和島病院外科, 愛媛大学医学部第1外科*
症例はB型肝炎による肝硬変を持つ45歳の男性で,表在性食道癌と肝右葉の大小多発性の肝細胞癌(HCC)の重複癌の診断で当科へ入院した.入院後,肝動脈からのlipiodolizationと右肝動脈のTAEを行い,UFT®の経口投与と2か月間で4回のCDDPの全身投与を行った.HCCは著明な縮小が見られ肝左葉にも病変を認めなかったが,食道病変は消滅しなかったため食道癌には切除術が必要と判断し,1期的に食道抜去術および肝右葉切除術を施行した.食道は中分化型扁平上皮癌で深達度はm3であった.肝はHCCであったがTAEが著効し分化度の判定は困難であった.術後経過は順調であったが9か月目に残肝に3個のHCCの小結節再発を認めた.しかし術後22か月を経過した現在,経皮的エタノール注入療法およびTAEを用いて良好なコントロールを得ている.
索引用語
esophageal carcinoma, hepatocellular carcinoma, synchronous carcinoma
別刷請求先
本田 五郎 〒798 宇和島市御殿町1-1 市立宇和島病院外科
受理年月日
1996年10月9日
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