原著
肝癌に対する抗癌剤の有効な局所投与法に関する実験的研究
小山 善久
福島県立医科大学第2外科(主任:阿部力哉教授)
家兎肝癌モデルを用いて抗癌剤の有効な投与経路や投与方法について研究した.VX-2腫瘍を移植した家兎肝腫瘍を用いた.投与経路はAdriamycin(ADR)水溶液を門注(PV群)あるいは肝動注(HA群)し,また肝動注はADRとLipiodolを併用し,腫瘍内濃度を測定した.投与経路別にみると腫瘍内濃度はPV群よりHA群で高い傾向を認めた(p<0.10).Lipiodolを併用した肝動注としてはADR水溶液を注入するone shot法(I群),ADR投与前後にLipiodolを投与するsandwich法(II群),48%urografinでADRを溶解後にLipiodolと攪拌して投与するLip-uro-ADR法(III群)の3法を行った.その結果,腫瘍内濃度は投与1,3,24時間後のどの時点でもIII群が最も高値(p<0.01,p<0.02)であった.肝動注は門注に比べ腫瘍内濃度が高く,Lipiodolを併用することでADRを腫瘍内に選択的かつ長時間停滞させ得ることができた.
索引用語
liver tumor, hepatic arterial infusion, adriamycin, lipiodol
別刷請求先
小山 善久 〒960-12 福島市光が丘1 福島県立医科大学第2外科
受理年月日
1996年12月11日
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