原著
大腸癌先進部における組織型とKi-67標識率の検討
船橋 公彦, 辻田 和紀*, 三木 敏嗣*, 小池 淳一*, 大谷 忠久, 永澤 康滋*, 小林 一雄*, 柳田 謙蔵*, 吉雄 敏文*
健康保険総合川崎中央病院外科, 東邦大学第1外科*
大腸癌56例(Dukes A:9例,B:15例,C:18例,D:14例)を対象に癌先進部における組織型とKi-67標識率(以下,Ki-67 LI)を検索し,病理学的諸因子との関係について検討し,以下の知見を得た.1)組織多様性が33.9%に認められた.組織多様性に関係なく,中心部に比べて先進部でKi-67 LIが有意に高値であった.2)先進部の組織型によってKi-67 LIは異なり,高分化腺癌に比べて分化度の低い癌や粘液産生癌で有意にKi-67 LIが高値であった.3)リンパ節転移や脈管侵襲陽性例でKi-67 LIが有意に高値であった.特に,高分化腺癌のうち,Ki-67 LI高値症例は,低値症例に比べて有意にリンパ節転移や脈管侵襲が多かった.以上より癌先進部の組織型と細胞増殖動態の解析は,大腸癌の悪性度を決定する有用な指標の1つと考えられた.
索引用語
colorectal carcinoma, histological heterogeneity, Ki-67 labeling index, infiltrated region
別刷請求先
船橋 公彦 〒143 東京都大田区大森西6-11-1 東邦大学医学部第1外科
受理年月日
1996年11月13日
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