特集
遺伝性非ポリポーシス大腸癌の手術術式の適応と遺伝子診断
野水 整1), 渡辺 文明1), 八巻 義雄1), 土屋 敦雄2), 阿部 力哉2), 岩間 毅夫3), 宇都宮 譲二4), 馬塲 正三5), 宮木 美知子6), 湯浅 保仁7)
星総合病院外科1), 福島県立医科大学第2外科2), 東京医科歯科大学医学部第2外科3), 兵庫医科大学第2外科4), 浜松医科大学第2外科5), 東京都立臨床医学総合研究所腫瘍生化学6), 東京医科歯科大学医学部衛生学7)
遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)の臨床的特徴のひとつに,大腸多発癌や子宮体癌の重複の頻度が高いことがあげられる.今回の検討では,大腸多発癌の頻度22.1%,大腸癌術後の直腸癌発生のリスク9.6%,直腸癌術後の結腸癌発生のリスク27.7%,子宮体癌の重複する頻度10.1%であった.したがって,HNPCCでは大腸全摘ないし大腸亜全摘や子宮の合併切除などの拡大手術が求められる.しかしこれらの拡大手術はQOLの低下をまねくことから,適応は慎重になされなければならない.HNPCCの原因遺伝子であるhMSH2やhMLH1のgermline mutationを有する症例や生検材料でのRERが陽性の症例を適応とするべきであるが,臨床的に対処するならば,Amsterdam Criteriaによって厳密に診断すべきである.
索引用語
hereditary nonpolyposis colorectal cancer, genetic diagnosis, surgical procedure
別刷請求先
野水 整 〒963 郡山市大町2-1-26 星総合病院外科
受理年月日
1996年12月11日
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