症例報告
骨形成を伴った胆嚢癌の1例
佐川 憲明, 田中 栄一, 富山 光広, 加藤 紘之*
清田病院外科, 北海道大学医学部第2外科*
患者は63歳の男性.1年前から腹部超音波検査にて胆石を指摘されていたが,1か月前から右季肋部痛が出現し,疼痛発作が頻回となったため近医受診.精査加療目的で当科入院になった.腫瘍マーカは正常範囲内で,腹部コンピュータ断層撮影,内視鏡的逆行性胆管造影にて胆嚢内結石症,慢性胆嚢炎と診断し,開腹胆嚢摘除術を施行した.胆嚢内は狭窄し,頸部および底部には結石が嵌頓しており底部の粘膜は壊死状で,石灰化様組織が認められた.組織学的には極めて高分化な腺癌細胞が乳頭状に増殖しており,一部粘液癌が混在していた.癌細胞に近傍して造骨細胞を伴う骨形成が認められた.骨組織は粘液産生部に多く認められた.胆嚢癌に骨形成を認める例は非常にまれで,検索しえた限りではこれまで4例しかなく,文献的考察を加えて報告した.
索引用語
gallbladder carcinoma, heterotopic bone formation
日消外会誌 30: 1861-1863, 1997
別刷請求先
佐川 憲明 〒004 札幌市豊平区真栄1条1丁目1-1 医療法人清田病院外科
受理年月日
1997年3月19日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|