症例報告
Serrated adenomaの多発を認めた若年者大腸癌の1例
中原 雅浩, 岡島 正純, 有田 道典, 小林 理一郎, 正岡 良之, 小島 康知, 豊田 和広, 川堀 勝史, 浅原 利正, 土肥 雪彦
広島大学医学部第2外科
今回,我々はserrated adenomaの多発を認めた若年者大陽癌の1例を経験したので報告する.症例は29歳の女性.腹部腫瘤の自覚で近医を受診.精査にて横行結腸に限局潰瘍型の腺癌とS状結腸から横行結腸にかけてポリープの多発を認めた.結腸右半切除術・D3のリンパ節郭清を施行した.病理組織学的所見では限局潰瘍型病変は高分化腺癌(壁深達度se,脈管侵襲ly1,v1))であった.切除標本上の多数の小隆起性病変はhyperplastic polypとserrated adenomaであった.正常部・腫瘍部に対し遺伝子不安定性を検討したがreplication errorは認めなかった.補助化学療法はテガフール―ウラシル配合剤300 mg/dayの経口投与を施行している.術後経過良好にて軽快退院し,術後18か月の現在,癌の転移・再発,第2癌の発癌は認めていない.
索引用語
colon cancer, serrated adenoma
日消外会誌 31: 1912-1915, 1998
別刷請求先
中原 雅浩 〒734-8551 広島市南区霞1-2-3 広島大学医学部第2外科
受理年月日
1998年4月22日
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