原著
ラットbacterial translocationの抑制に関するL-グルタミンとポリデキストロースの効果―特にnitric oxideの変動からみて―
山口 英見
獨協医科大学第2外科
bacterial translocationの抑制と一酸化窒素の関与について実験的に検討した.ラットに空腸回腸バイパスモデルを作製し,経腸投与により5%ブドウ糖+L-グルタミン投与群(G群),5%ブドウ糖+ポリデキストロース投与群(P群),5%ブドウ糖単独投与群(C群)を作製し,1週間無拘束自由飼育後に検討した.その結果,C群では小腸粘膜の荒廃と腹腔内リンパ節への大腸菌の移行を認め,肝小葉には著明な脂肪変性がみられた.G, P群ではこれらの変化は軽度であった.また,C群では小腸組織でのiNOS mRNA誘導と門脈血中NO2-/NO3-濃度の増加を認めたが,G, P群では抑制された.ラット空腸回腸バイパスモデルによるbacterial translocationにおいて,小腸組織から一酸化窒素が誘導されることを明らかにし,グルタミンおよびポリデキストロースによるbacterial translocationの抑制と小腸組織での一酸化窒素産生抑制効果を証明した.
索引用語
bacterial translocation, nitric oxide, glutamine, polydextrose
別刷請求先
山口 英見 〒321-0293 栃木県下都賀郡壬生町大字北小林880 獨協医科大学第2外科
受理年月日
1998年10月14日
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