症例報告
胃平滑筋芽細胞腫と胃癌の衝突腫瘍の1例
伊藤 泰平, 松井 芳文, 長尾 孝一*, 粟野 友太, 佐藤 治夫, 坂本 昭雄
国保成東病院外科, 帝京大学市原病院臨床病理*
胃癌と胃平滑筋芽細胞腫の併存例はまれであるが,今回,我々は両者の衝突腫瘍の1例を経験したので報告する.症例は80歳の男性.労作時呼吸困難と吐血にて緊急入院となった.胃内視鏡検査で,胃体部に3センチ大の粘膜下腫瘍と,前庭部から胃体部にかけて4型の胃癌を認め,胃亜全摘術+D2郭清術を施行した.病理組織学的検索にて,粘膜下腫瘍は平滑筋芽細胞腫,4型胃癌は低分化型腺癌の像を呈し,両成分は相接していたが交錯した像は認めず,両者の衝突腫瘍と診断された.文献的検索では,胃平滑筋芽細胞腫260例中,胃癌を合併したものは20例であり,うち衝突腫瘍は本症例を含め2例であり,極めてまれな症例であると考えられた.
索引用語
collision tumor, leiomyoblastoma of stomach, gastric cancer
別刷請求先
伊藤 泰平 〒260-8677 千葉市中央区亥鼻1-8-1 千葉大学第2外科
受理年月日
1998年11月13日
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