症例報告
僧帽筋原発平滑筋肉腫を合併した遺伝性非ポリポーシス大腸癌の1例
竹内 邦夫, 都築 靖, 安藤 哲, 小林 正則, 萬田 緑平, 野内 達人
利根中央病院外科
僧帽筋原発平滑筋肉腫を合併した遺伝性非ポリポーシス大腸癌(hereditary non-polyposis colorectal cancer;HNPCC)の1例を経験したので報告する.症例は55歳の男性.24歳時に上行結腸癌,35歳時に横行結腸癌,54歳時にS状結腸癌で手術を行っている.家族歴では母に大腸癌,父に胃癌,兄弟に大腸癌2人,肝臓癌1人,母方の叔父に大腸癌1人,母方の従兄弟に大腸癌1人を認めた.今回,右肩の腫脹を主訴に近医を受診.穿刺細胞診でclass Vの診断を受け,当科に紹介され入院となった.精査の結果,右側肩甲筋群内悪性腫瘍の診断で,腫瘍摘出術施行.病理組織診断では僧帽筋原発平滑筋肉腫であった.術後6か月目に局所再発および肺転移により死亡した.HNPCCは大腸以外の他臓器にも高率に悪性腫瘍を併発するが,自験例のように軟部悪性腫瘍を合併した症例は極めてまれである.
索引用語
hereditary non-polyposis colorectal cancer, leiomyosarcoma of the trapezius muscle
日消外会誌 32: 2153-2157, 1999
別刷請求先
竹内 邦夫 〒378-0053 沼田市東原新町1855-1 利根中央病院外科
受理年月日
1999年3月31日
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