原著
大腸sm癌切除後転移再発例の検討
井上 雄志, 鈴木 衛, 高崎 健
東京女子医科大学消化器病センター外科
過去10年間の大腸sm癌外科切除104例の中で,6例(5.8%)に術後転移再発を認めた.局所・リンパ節再発は4例で,直腸3例,下行結腸1例であった.組織型は中分化腺癌が3例,高分化腺癌が1例で,4例中3例はリンパ節転移陽性,全例リンパ管侵襲陽性であり,壁深達度細分類ではsm3であった.3例に再切除を行い,2例生存中である.肝再発は2例で,横行結腸1例,上行結腸1例であった.2例とも単発肝再発であり,血中CEA値の上昇で,肝再発を指摘しえ,肝部分切除後無再発生存中である.大腸sm癌の初回手術時の病理所見で中分化腺癌,リンパ節転移陽性例,リンパ管侵襲陽性例は,局所・リンパ節再発のhigh risk groupとして,より入念な経過観察が必要である.肝再発の予測は困難であるが,肝転移を念頭においた術後の経過観察が重要であると思われた.
索引用語
colorectal submucosal invasive cancer, local and lymph node recurrence, liver metastasis
日消外会誌 32: 2333-2338, 1999
別刷請求先
井上 雄志 〒162-8666 新宿区河田町8-1 東京女子医科大学消化器病センター医局
受理年月日
1999年5月25日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|