ハムスターにおける全幹迷走神 経切離に伴う胆石形成に対する漢方製剤（大柴胡湯，小柴胡湯，茵陳五苓散）の実験的効果検討

塩澤　学, 今田　敏夫, 白石　龍二^＊, 大島　貴, 利野　靖, 高梨　吉則

横浜市立大学第1外科, 平塚共済病院外科^＊

　全幹迷走神経切離（迷切）による胆石形成に対し，大柴胡湯（CM-8），小柴胡湯（CM-9），茵陳五苓散（CM-117）を投与し，その形成抑制効果と胆嚢胆汁の組成変化をハムスターを用いて実験的に検討した．胆石発生率は迷切群100％，CM―8投与群50％，CM-9投与群55.6％，CM-117投与群62.5％と胆石形成抑制効果を認めた．総胆汁酸は，迷切群に比べCM-8群で減少，CM-9群，CM-117群で増加していた．胆汁酸分画で，1次，2次胆汁酸比（S/P）とコール酸/ケノデオキシコール酸比をみると，CM-9群，CM-117群では改善傾向を認めたが，CM―8群では認めなかった．迷切による胆石生成は，3種の漢方製剤投与により抑制されたが，胆汁脂質および胆汁酸分画成分の改善を認めたのは，CM-9とCM-117群であり，CM-8は胆嚢胆汁からはその抑制効果を説明できなかった．

索引用語
chinese medicine, gallstone formation after vagotomy

別刷請求先
塩澤　学　〒236-0004　横浜市金沢区福浦3-9　横浜市立大学医学部第1外科

受理年月日
1999年9月22日

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