症例報告
肝原発扁平上皮癌の1例
東 久弥, 横尾 直樹, 加藤 達史, 福井 貴巳, 山口 哲哉, 岡本 清尚*
高山赤十字病院外科, 同 病理*
肝原発扁平上皮癌の1例を経験したので報告する.症例は58歳の男性.上腹部痛を主訴に来院した.血液検査では胆道系酵素の軽度上昇がみられたが,腫瘍マーカーはいずれも正常値内であり,B型およびC型肝炎ウイルスマーカーは陰性であった.腫瘤は肝S4に存在し,腹部USでは境界不鮮明で内部が低エコー像として,腹部CTでは内部不均一な低密度領域として,腹部MRIではT1強調で低信号,T2強調で高信号の像として描出された.血管造影では,腫瘤に一致して淡い濃染像を認めた.肝左葉切除術を施行,腫瘤は径4.5×3×3cm,被膜は無いものの境界は比較的明瞭であり,割面は黄白色であった.組織学的には,角化を伴った比較的分化度の高い扁平上皮癌であり,腺癌成分を認めなかった.背景の肝組織に炎症や線維化などの変化はみられなかった.術後1年9か月を経た現在,再発徴候無く健在である.
索引用語
liver tumor, squamous cell carcinoma
別刷請求先
東 久弥 〒506-8550 高山市天満町3-11 高山赤十字病院外科
受理年月日
1999年10月26日
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