症例報告
多中心性に発生したと考えられる後腹膜脂肪肉腫の1例
二村 直樹, 鬼束 惇義, 林 勝知, 柴田 雅也, 阪本 研一, 安村 幹央, 広瀬 一, 下川 邦泰*
岐阜大学第1外科, 同 臨床検査部病理*
S状結腸間膜に脂肪腫を合併し,多中心性に発生したと考えられる後腹膜脂肪肉腫の1例を経験したので報告する.症例は57歳の男性.1996年9月,近医通院中に行われた腹部超音波検査で左上腹部を中心とした腫瘤を指摘された.腹部超音波,CT,MRIにて正中から左腎の腹側と左腎の頭側から腎門に各1個の腫瘤が認められた.左腎の腹側の腫瘤は一部に脂肪が認められると判断し,このことから脂肪肉腫と診断した.手術所見では後腹膜に,左腎の腹側と左腎の頭側から腎門に各1個の腫瘤が存在し,それらは連続していなかった.画像診断にて左腎の腹側の腫瘤の一部は脂肪であると判断した部分はS状結腸間膜に存在する独立した腫瘤であった.これらを摘出した.病理組織検査では2個の後腹膜腫瘍は粘液型の脂肪肉腫であった.S状結腸間膜腫瘍は脂肪腫であった.脂肪腫を合併し,多中心性に発生した脂肪肉腫と考えられた.
索引用語
multicentric liposarcoma retroperitoneal liposarcoma
別刷請求先
二村 直樹 〒501-206 羽島市新生町3-246 羽島市民病院外科
受理年月日
1999年9月22日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|