腺腫内癌の形態を呈した十二指腸ブルンネル腺癌の1例

篠原　剛, 寺崎　正起, 久納　孝夫, 岡本　恭和, 坂本　英至, 神谷　諭, 小林　聡, 浅羽　雄太郎, 星　昭二^＊

静岡済生会総合病院外科, 同　病理^*

　症例は71歳の男性．特に自覚症状はなく，スクリーニングの上部消化管内視鏡検査にて十二指腸下行脚，主乳頭対側に亜有茎性のポリープを認め，当院に紹介，入院となった．低緊張性十二指腸造影では亜有茎性の腫瘍として描出された．十二指腸良性腫瘍の診断にて十二指腸切開，腫瘍切除術を施行した．病理組織学的には粘膜下層を中心にブルンネル腺由来と思われる軽度腫大した腫瘍細胞が乳頭状に増生していた．細胞異型および構造異型は少なく，adenomaの所見であったが，腫瘍細胞は一部粘膜筋板を破壊し粘膜固有層に浸潤していた．以上よりブルンネル腺由来の腺癌と診断した．本症例はcancer in adenomaの形態を呈しており，ブルンネル腺癌の発生に関し興味深い1例と思われた．

索引用語
carcinoma arining in Brunner's glands, cancer in adenoma

別刷請求先
篠原　剛　〒422-8527　静岡市小鹿1-1-1　静岡済生会総合病院外科

受理年月日
1999年11月30日

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