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第33巻 第4号 2000年4月 [目次] [全文 ( PDF 129KB)]
症例報告

肝細胞癌切除後両側多発肺転移に対し全身化学療法が著効し肺切除した1例

中崎 晴弘, 渡辺 正志, 長谷部 行健, 戸倉 夏木, 大城 充, 瀧田 渉, 三木 敏嗣, 瀬尾 章, 栗原 聰元, 小林 一雄

東邦大学第1外科

 症例は61歳の男性.慢性肝炎で近医通院中,採血で慢性骨髄性白血病が疑われ,精査目的で当院入院となった.入院時の超音波,CT検査で肝S3からS4にかけて40×35mm大およびS8に8mm大の腫瘤を認め,血清AFPは1,757ng/mlと高値を示し肝細胞癌の診断で平成6年10月肝左葉切除およびS8の腫瘍にエタノール局注を施行した.平成8年4月胸部X線,CTで両肺に多発性の転移巣を認め,静脈リザーバーから化学療法を施行した.CDDP 20mgを1時間かけ,5-FU 2,000mgを7日間持続投与し,1週間休薬し繰り返した.14クール施行したところで左肺の1.5cm大の1個を残し他の腫瘍陰影は消失した.さらに25クール施行したが縮小傾向を認めず,平成10年6月左肺部分切除術を施行した.術後再発の兆候なく外来通院中である.
 今回,われわれは肝細胞癌切除後両側多発肺転移に対して全身化学療法施行後,肺切除しえた1例を経験したので報告した.

索引用語
hepatocellular carcinoma, pulmonary metastases, systemic chemotherapy

日消外会誌 33: 492-496, 2000

別刷請求先
中崎 晴弘 〒143-8541 東京都大田区大森西6-11-1 東邦大学大森病院第1外科

受理年月日
1999年12月22日

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