症例報告
異時性に腹壁デスモイドと腸間膜デスモイドが発生した1治験例
安井 祐司, 土屋 和彦, 前田 裕己, 椋棒 正博
市立小野市民病院外科
症例は58歳の女性.大腸癌術後,外来観察中腹部腫瘤を指摘される.臨床経過,画像診断にてデスモイドを疑い,針生検にて術前にデスモイドと診断し手術を施行した.摘出標本での腫瘍は大きさ9.5×9.0×6.0cm大であり,割面は均一でやや黒ずんだ灰色で出血,壊死は認めなかった.摘出標本での病理組織検査でもデスモイドと診断された.デスモイドは病理学的に浸潤性に発育し,しばしば局所再発を認める.そのため治療法として広範囲な腫瘍摘出が望まれる.術前の針生検は術式の選択に有用であった.また,本症例は既往歴に腹壁デスモイドを認め,異時性に腸間膜デスモイドが発生した非常にまれな症例であった.術後再発の徴候なく10か月経過し現在,観察中である.
索引用語
mesenteric desmoid tumor, abdominal desmoid tumor, mesenteric fibromatosis
別刷請求先
安井 祐司 〒675-0009 加古川市神野町西条1545-1 国立加古川病院外科
受理年月日
2000年1月26日
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