症例報告
大腸に発生した多発性顆粒細胞腫の1例
竹山 廣光, 大原 永子, 赤毛 義実, 田中 守嗣, 福井 拓治, 早川 哲史, 毛利 紀章, 山本 稔, 佐藤 幹則, 真辺 忠夫
名古屋市立大学第1外科
症例は46歳の男性.腹痛を主訴に来院.注腸X線,内視鏡検査にて盲腸底部に大小不同の結節集簇性病変と,回盲弁直上およびその2cm肛門側の上行結腸,直腸にそれぞれ2mm,10mm,5mmの粘膜下腫瘍(SMT)を認めた.直腸のSMTに対してはポリペクトミーを施行し,盲腸の結節集簇性病変と上行結腸の2か所のSMTに対して回盲部切除を施行した.3個のSMTはいずれも粘膜下層に存在し,好酸性顆粒をもつ多型細胞が胞巣状に増生しており顆粒細胞腫と診断された.免疫組織学的染色では,S-100蛋白陽性,NSE(neuron-specific-enolase)陽性,desmin陰性であり神経原性と考えられた.欧米では悪性例も報告されており,確実な切除が重要である.本症例においては 7 年を経過した現在,再発を認めていない.大腸における多発性の顆粒細胞腫は過去 2 例を認めるのみで極めてまれである.
索引用語
multiple granular cell tumors, colon, S-100 protein
別刷請求先
竹山 廣光 〒467-8601 名古屋市瑞穂区瑞穂町川澄1 名古屋市立大学第1外科
受理年月日
2000年2月23日
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