症例報告
子宮体癌術後に上行結腸転移悪性リンパ腫を認めた1例
津川 猛士1)3), 亀山 雅男1), 村田 幸平1), 大東 弘明1), 平塚 正弘1), 佐々木 洋1), 甲 利幸1),石川 治1),今岡 真義1),春日井 務2)
大阪府立成人病センター外科1), 同 病理診断科2), 医療法人平和会吉田病院外科3)
子宮体部から大腸への転移は,自験例を含め本邦報告2例とまれであり,今回,子宮体癌の上行結腸転移に,悪性リンパ腫を合併した1切除例を経験したので報告する.症例は,58歳の女性.子宮体癌(高分化腺癌)にて準広範子宮全摘術施行.2年8か月後に腟断端再発をきたし,CDDP 120 mg,CPA 1,000 mgの投与を3クール,骨盤内に総量60Gyの放射線照射を行った.1か月後右上腹部痛出現,上行結腸に径4cm大の腫瘤を認め,結腸右半切除(D3郭清)施行.迅速組織診にて,骨盤腔内に子宮体癌の再燃を確認,一方,結腸切除標本における病巣の主座は粘膜下層にあり,組織像も酷似しており子宮体癌の大腸転移と診断した.また,リンパ節の迅速組織診にて悪性リンパ腫の所見を得た.現在,再燃傾向なく生存中.放射線や化学療法が奏効しやすい子宮癌の術後には,造血器腫瘍も念頭に置いたフォローが望まれる.
索引用語
metastatic colonic carcinoma, endometrial carcinoma, malignant lymphoma
日消外会誌 33: 1539-1543, 2000
別刷請求先
亀山 雅男 〒537-8511 大阪市東成区中道1-3-3 大阪府立成人病センター第1外科
受理年月日
2000年3月22日
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