成人腸重積を合併した回腸炎症性線維性ポリープの1例

上原　浩文^1）3）, 安部　達也^1）, 草野　真暢^1）, 久須美　貴哉^1）, 細川　正夫^1）, 藤田　昌宏^2）, 近藤　哲^3）, 加藤　紘之^3）

恵佑会札幌病院外科^1）, 同　病理^2）, 北海道大学第2外科^3）

　成人腸重積を合併した回腸炎症性線維性ポリープの1例を経験したので報告する．症例は80歳の女性で，繰り返す腹痛と腹部膨満感を主訴に近医を受診し，イレウスの診断で当院紹介となった．ロングチューブ造影検査および腹部CT検査にて腸重積によるイレウスと診断し，開腹手術を施行した．術中所見では，回盲弁より60 cm口側の腫瘍を先進部とした回腸回腸型の3重の腸重積を認め，腫瘍を含めた回腸部分切除術を施行した．切除標本では大きさ54×48×36 mmの，頂部に被覆粘膜の欠損を伴った弾性硬の有茎性腫瘤を認め，病理組織学的に炎症性線維性ポリープと診断された．小腸炎症性線維性ポリープの本邦報告例は自験例を併せ82例であり，その84.8％は腫瘍を先進部とする腸重積を合併し発症する．我々の1例と併せ，本邦報告例につき検討を加えて報告する．

索引用語
inflammatory fibroid polyp, intussusception, small intestinal tumor

別刷請求先
上原　浩文　〒003-0027　札幌市白石区本通14丁目北1番1号　恵佑会札幌病院

受理年月日
2000年5月23日

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