原著
肝門部・上部胆管癌の予後規定因子と術後放射線療法の治療効果
神谷 紀之, 遠藤 格, 瀧本 篤, 藤井 義郎, 関戸 仁, 渡会 伸治, 嶋田 紘
横浜市立大学医学部第2外科
肝門部上部胆管癌44例を対象に,予後規定因子と術後放射線療法(post operative radiotherapy:PORT)の治療効果を検討した.切除例は32例で切除率は72.7%であった.切除例の平均観察期間は20.6か月で,1,3,5生率は79.9%,59.8%,39.3%であった.単変量解析ではリンパ節転移の有無とPORTの有無が,多変量解析ではPORTの有無が予後規定因子と考えられた.1,3生率は,根治度A,BかつPORT(-)群の83.3%,40.0%に対して根治度CかつPORT(+)群では100%,53.3%と,根治度CでもPORTにより根治度A,Bと同等の生存率が得られた.PORT施行例では組織学的にhm2,em2において局所再発を認めず,特に肝側胆管断端,剥離面の癌遺残に対する再発抑制効果があると思われた.
索引用語
proximal cholangiocarcinoma, prognostic factor, postoperative radiotherapy
日消外会誌 33: 1744-1750, 2000
別刷請求先
神谷 紀之 〒236-0004 横浜市金沢区福浦3-9 横浜市立大学医学部第2外科
受理年月日
2000年6月28日
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