胃および胆嚢に同時に発生したXanthogranulomaの1切除例

岡山　順司, 松村　一隆, 杉原　誠一, 中辻　直之, 西和田　敬, 堀川　雅人, 中野　博重^＊

星ケ丘厚生年金病院外科, 奈良県立医科大学第1外科^＊

　症例59歳の男性．食後の心窩部痛を主訴に近医を受診．上部消化管内視鏡検査で胃穹窿部と胃体下部小彎前壁に胃粘膜下腫瘍を指摘され当科紹介受診．精査で胃粘膜下腫瘍と慢性胆嚢炎，胆嚢腺筋症と診断し開腹術を施行した．開腹所見では，腹腔内に広範囲の線維性癒着があり，胃穹窿部の腫瘍は脾臓および左横隔膜と，胃体下部小彎前壁腫瘍は腹壁と癒着していた．また，胆嚢には壁肥厚と十二指腸との間に癒着を認めた．胃穹窿部および胃体下部小彎前壁の腫瘍は術中迅速検査でXanthogranulomaと診断されたため，噴門側胃切除，脾摘，胃体下部小彎前壁腫瘍の楔状切除，胆摘，幽門形成を施行した．病理組織学的には泡沫状細胞と線維芽細胞の増生，炎症細胞の浸潤を伴う肉芽腫であった．Xanthogranulomaは，消化管，胆嚢，腎臓，後腹膜，皮膚などに発生するが，胃および胆嚢に同時に発生した症例報告は，本邦では検索上なく，極めてまれな症例であった．

索引用語
synchronous xanthogranuloma, stomach, gallbladder

別刷請求先
岡山　順司　〒634-8522　橿原市四条町840　奈良県立医科大学第1外科

受理年月日
2000年9月20日

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