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第34巻 第3号 2001年3月 [目次] [全文 ( PDF 144KB)]
原著

肝転移成立における肝虚血再灌流の影響

園田 一郎, 青木 達哉, 葦沢 龍人

東京医科大学外科学教室(指導:小秦久主任教授)

 血行性肝転移成立における肝虚血再灌流の影響を類洞内皮のICAM-1発現の面から検討した.肝右葉虚血・腫瘍細胞非投与(A)群では虚血側にICAM-1の発現増強を認めた.肝非虚血・腫瘍投与(B)群では12例中5例に肝転移を認めたが,右葉と中・左葉との間に転移結節に有意差は認めなかった.肝右葉虚血・腫瘍投与(C)群と肝中・左葉虚血・腫瘍投与(D)群では虚血側の転移結節は非虚血側に比較し有意に多く(C群:p<0.05,D群:片側検定p<0.05),虚血側のICAM-1発現増強が非虚血側と比較し有意に認められた.抗ICAM-1抗体投与(E)群では虚血側と非虚血側との間に転移結節数の有意差はなかった.以上により肝虚血再灌流による類洞内皮のICAM-1発現増強に伴い,肝転移成立が促進されることが強く示唆され,また抗ICAM-1抗体の投与による肝転移抑制の可能性が示された.

索引用語
ischemia-reperfusion injury, intercellular adhesion molecule-1 (ICAM-1), hematogenous hepatic metastasis

日消外会誌 34: 177-188, 2001

別刷請求先
園田 一郎 〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-7-1 東京医科大学外科学第三講座

受理年月日
2000年12月19日

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