長期生存しえた直腸肛門部悪性黒色腫の2例

西科　琢雄, 国枝　克行, 宮　喜一, 佐治　重豊, 下川　邦泰^1）, 堅田　昌弘^2）, 渡辺　敬^3）　　　　　　　

岐阜大学医学部第2外科, 同　臨床検査病理^1）, 白鳳会鷲見病院外科^2）, 岐阜中央クリニック^3）

　直腸肛門部悪性黒色腫は比較的まれで，極めて予後不良な疾患である．今回，比較的早期に発見された2症例に対し，生検後の局所追加切除あるいは腹会陰式直腸切断により，術後3年以上の長期生存をみているので，その概要を紹介し若干の文献的考察を加えた．
　症例1：76歳の男性，10mm大の直腸ポリープの診断にてポリペクトミーを施行したところ，病理組織学的に低色素性黒色腫と診断された．直腸切断術を勧めるも患者の強い希望で局所の追加切除のみにとどめたが，術後8年目の現在無再発生存中である．
　症例2：72歳の女性，25mm大と10mm大の黒色腫瘤を伴う最大径48mmの黒色腫であった．生検により診断確定し，約4週後に腹会陰式直腸切断術（D2）を施行した．進行度はsm，v0，ly0，n（－）のStage Iであった．術後4年1か月の現在，無再発生存中である．

索引用語
anorectal malignant melanoma, long-term survival of the anorectal malignant melanoma, biopsy for the anorectal malignant melanoma

別刷請求先
西科　琢雄　〒500-8705　岐阜市司町40　岐阜大学医学部付属病院第2外科

受理年月日
2000年11月29日

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