症例報告
中結腸動脈に仮性動脈瘤を有した膵仮性嚢胞内出血の1例
裴 英洙, 細川 治, 林 裕之, 道傅 研司, 渡辺 国重
福井県立病院外科
症例は51歳の男性.煙草20本/日,日本酒1日5台を30年続けてきた.3日前から下痢と腹痛にて紹介医で補液療法を受けていたが,突然左上腹部に激痛が出現し,ショック状態に陥り,当院に紹介された.顔貌は苦悶状,ショック状態,左上腹部から臍周囲に疼痛,圧痛著明であった.腹部CTで膵体部から尾部に浮腫性変化と膵の周囲に内部不均一で辺縁不明瞭,造影効果のある腫瘤を認め,翌日の腹部超音波検査で内部に一部high echoicな部分を有する嚢胞への進展を確認した.以上より膵仮性嚢胞内出血と診断し,上腸間膜動脈造影により中結腸動脈の仮性動脈瘤が出血源と判明した.絶飲絶食のもとに点滴,抗生物質,膵酵素阻害剤の投与で経過を追ったところ膵炎は沈静化し,2か月後の動脈造影とCTで仮性動脈瘤は消失し,膵仮性嚢胞は著明に縮小した.
索引用語
acute pancreatitis, pancreatic pseudocyst, pseudoaneurysma
別刷請求先
裴 英洙 〒933-8555 高岡市永楽町5-10 厚生連高岡病院胸部外科
受理年月日
2000年12月19日
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