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第34巻 第5号 2001年5月 [目次] [全文 ( PDF 115KB)]
症例報告

慢性膵炎を合併した胃重複症の1例

横山 浩一, 浅田 康行, 斉藤 英夫, 宗本 義則, 藤沢 克憲, 笠原 善郎, 三井 毅, 飯田 善郎, 三浦 將司, 藤沢 正清

福井県済生会病院外科

 慢性膵炎を伴う胃重複症の1例を経験した.症例は17歳の女性.3歳時より腹痛・嘔吐発作繰り返すも原因は判明しなかった.今回は腹痛,腹部腫瘤を主訴に入院となった.入院5日目に突然の疼痛の増強をきたし緊急手術を行った.開腹すると左上腹部を中心とする巨大な腫瘤を認めた.腫瘤は4個の嚢胞性病変より成り,1個の内腔は胃粘膜と類似し重複胃と推定し一部を採取した.他は2個の膿瘍と膵仮性嚢胞であった.高度の癒着にて重複胃切除は不可能で,膵仮性嚢胞を介した胃と重複胃の吻合術を行った.病理組織学的検索では萎縮粘膜,粘膜筋板,固有筋層を有する胃壁様構造を示し胃重複症と診断した.術後は順調に経過し,現在まで腹痛発作は認めていない.慢性膵炎を伴う重複胃では,重複胃と膵管との異常交通があり,このことが反復する急性膵炎の原因となるとの報告があり,本症例でもこのような異常病変が慢性膵炎の成因となった可能性は否定できない.

索引用語
duplication of the stomach, chronic pancreatitis

日消外会誌 34: 475-479, 2001

別刷請求先
横山 浩一 〒921-8161 金沢市有松5-1-7 有松中央病院外科

受理年月日
2001年1月31日

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