原著
多変量統計解析を用いた超高齢者(85歳以上)大腸癌患者の合併症危険因子と予後因子の検討
木村 臣一, 岩垣 博巳, 松原 長秀, 守本 芳典, 磯崎 博司, 田中 紀章
岡山大学第1外科
70歳代の高齢者大腸癌手術は日常化しているが,85歳以上の超高齢者の手術は比較的少ない.超高齢者の治療上の注意点を明確にするために85歳以上の大腸癌切除例22例と75~84歳の103例を対象に臨床病理学的因子,術後合併症,生存率などを比較した.また,多変量解析を用いて術後合併症の危険因子と予後因子を求めた.85歳以上群でイレウス・穿孔と術後呼吸器,中枢・精神障害の合併,他病死が高率で,郭清が縮小されていたが,生存率,耐術率などに差はなかった.多変量解析では超高齢者は術後中枢・精神障害の危険因子であった.大腸癌の部位,組織型,肝転移,腹膜播種,リンパ節転移が予後因子であり,年齢は予後因子ではなかった.超高齢者でも生存率,耐術率に差はなく,84歳以下の高齢者とほぼ同様に治療することが可能である.ただし,超高齢は術後の中枢・精神障害の危険因子であり,また,超高齢者は遠隔期においては他病死が多く,follow up 上,厳重な注意が必要である.
索引用語
patients with colorectal cancer over 85 years old, prognostic factors, risk factors in postopertative complications, multivariate analysi
別刷請求先
木村 臣一 〒700-8558 岡山市鹿田町2-5-1 岡山大学第1外科
受理年月日
2001年2月28日
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