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第34巻 第6号 2001年6月 [目次] [全文 ( PDF 116KB)]
症例報告

Helicobacter pylori の感染を伴う早期胃癌と胃MALTリンパ腫の共存した1切除例

高橋 宏明, 冨田 隆, 早川 弘輝

鈴鹿回生病院外科

 早期胃癌と胃 MALT リンパ腫の共存した1切除例を経験したので報告する.症例は37歳の男性で特に自覚症状は認めなかったが,健康診断で胃の異常を指摘され当科を受診した.上部消化管造影と胃内視鏡検査にて胃体部から幽門部にかけて比較的広範囲の粘膜不整像を認め,生検の結果高分化腺癌で,一部リンパ濾胞の形成を認めた.胃癌の診断で胃全摘兼脾臓摘出術を施行した.病理組織学的検査では2つの独立した病変を認め,体部を中心とした病変は胃癌で tub1,t1(m),n0,H0,P0,M0;stage Ia であった.また,体部より前庭部の病変は胃 MALT リンパ腫であり,深達度は sm でリンパ節転移は認めなかった.胃癌と胃 MALT リンパ腫の共存はまれとされているが,Helicobacter pylori 感染は胃 MALT リンパ腫ばかりでなく胃癌の発生危険因子とされる.自験例は胃 MALT リンパ腫ならびに胃癌と Helicobacter pylori 感染とのかかわりを考えるうえで貴重な症例と考えられた.

索引用語
gastric carcinoma, MALT lymphoma, helicabacter pylori infection

日消外会誌 34: 571-575, 2001

別刷請求先
高橋 宏明 〒513-0836 鈴鹿市国府町字保子里112 鈴鹿回生病院外科

受理年月日
2001年2月28日

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