症例報告
術前放射線治療を施行した成人肝芽腫の1例
一瀬 亮吾, 福森 龍也, 関根 祐樹, 鈴木 雄, 遠藤 義洋, 北村 道彦, 冨地 信和*
岩手県立胆沢病院外科, 岩手県立中央病院病理診断センター*
われわれは術前放射線治療を施行した成人肝芽腫の1例を経験したので報告する.症例は60歳の男性,1998年3月に検診で肝機能異常を指摘され来院した.エコーで肝右葉に径15cmの腫瘤を認めた.Alpha-fetoprotein(以下,AFP と略記)は11,932ng/ml と高値であり肝細胞癌と診断された.放射線治療を40Gy 施行した結果,CT上で最大径6.1cm と著明に縮小しAFPも42ng/ml と低下した.その後 AFP が再上昇したため,1999年6月に肝右葉切除ならびに横隔膜合併切除を施行した.肉眼的には肝右葉に出血と壊死を伴う11×7.5×6cm の結節型の腫瘤を認めた.組織学的に,腫瘍は大部分が肝芽腫(低分化型~未熟型)の像を示していたが一部に肝細胞癌の像も混在していた.術後経過は良好で,第22病日に退院したが,左頸部と肺に腫瘍の転移が出現し術後2か月で死亡した.
索引用語
adult hepatoblastoma, radiotherapy
別刷請求先
一瀬 亮吾 〒023-0864 水沢市龍ヶ馬場61 岩手県立胆沢病院外科
受理年月日
2001年3月28日
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