症例報告
クローン病を背景に発生したと考えられた大腸癌の1例
加賀谷 正, 島村 善行, 石井 正則, 吉武 理, 藤田 省吾, 高山 悟, 向後 正幸, 永井 基樹
千葉西総合病院外科
上行結腸の狭窄による腹痛にて手術を行い,病理所見にてクローン病を背景に発生した大腸癌と考えられた症例を経験したので報告する.患者は56歳の女性で,食後の右下腹部痛を主訴に来院した.右下腹部に手拳大の腫瘤を触知し,大腸内視鏡にて全周性の狭窄を認めた.右半結腸切除術を行ったところ肉眼的に一般の大腸癌に見られる隆起や潰瘍の形成はなく,区域的なびらん性粘膜と縦走潰瘍,敷石像を認めた.組織像にて粘液産生亢進を示す高分化腺癌のほかに非乾酪性肉芽腫を有しており,クローン病を背景に発生した大腸癌と考えられた. 近年クローン病の増加とともに,これを背景に発生する大腸癌に十分留意する必要があると思われた.
索引用語
colon cancer, Crohn's disease, carcinigenesis
別刷請求先
加賀谷 正 〒270-2251 松戸市金が作107-1 千葉西総合病院外科
受理年月日
2001年3月28日
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